業務でスマートフォンやタブレットを使う企業が増えるなか、「端末の紛失時にリモートでデータを消去したい」「業務アプリの一括配信をしたい」といったニーズが高まっています。こうした課題を解決するのが、MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)ツールです。
しかしMDMツールは種類が多く、「どれを選べばいいか分からない」「自社の規模に合ったサービスはどれか」と悩む声も少なくありません。この記事では、主要なMDMツールを厳選して比較し、選び方のポイントも解説していきます。

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MDMツールでできること
リモートロック・リモートワイプ
端末を紛失したり盗難にあったりした場合に、遠隔操作で端末をロックしたり、データを完全に消去したりできます。業務データの漏洩を防ぐための基本機能です。
もっとも、リモートワイプはあくまで紛失したあとの手当てです。そもそも置き忘れに早く気づける状態を作っておきたい場合は、端末やケースに付けられるスマートトラッカーを併用する企業もあります。
アプリの一括配信・制限
業務で必要なアプリを管理者側から一括でインストールしたり、不要なアプリの利用を制限したりできます。全社員のスマホに同じ設定を適用する手間が大幅に省けます。
OSアップデートの管理
セキュリティパッチの適用状況を一覧で確認し、更新が遅れている端末に通知を送ることができます。脆弱性を放置した端末が攻撃の入口になるリスクを軽減します。
位置情報の把握
GPSを使って端末の現在位置を確認できます。紛失時の捜索に役立つほか、配送業や訪問営業など、従業員の移動が多い業務での動態管理にも活用されています。
MDMの基本は「紛失対策」と「アプリ管理」です。これに加えて、OSアップデートの管理やセキュリティポリシーの適用まで対応できると、ゼロトラストの一要素としても機能します。
MDMツールおすすめ比較
CLOMO MDM
CLOMO MDMは、国内シェアが高い国産MDMサービスです。iOS・Android・Windows・macOSに対応しており、管理画面もすべて日本語です。初期費用19,800円(税抜)、月額440円/デバイス(記事執筆時点)と、中小企業でも導入しやすい価格設定です。最低契約台数は5ライセンスからです。
サポートも日本語で対応しており、IT専任者がいない企業でも安心して運用できます。端末の使用時間制限や、紛失時のリモートワイプなど基本機能が充実しています。
LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版
MOTEX(エムオーテックス)が提供するIT資産管理・MDMの統合ツールです。PCとスマホを一つの管理画面で一元管理できるのが特徴で、クラウドサービスのIT資産管理ツール市場でシェアが高いサービスです。Microsoft 365との連携も可能で、すでにMicrosoft環境を構築している企業との相性が良好です。
Microsoft Intune
Microsoftが提供するクラウドベースのデバイス管理サービスです。Microsoft 365 Business Premiumに含まれているため、すでに契約している企業は追加費用なしで利用を開始できます。Windows・iOS・Android・macOSに対応し、条件付きアクセスと組み合わせることでゼロトラストの実現にも貢献します。
Jamf Pro
Apple製品に特化したMDMソリューションです。iPhone・iPad・MacをApple Business Manager経由でゼロタッチ導入できるため、Apple製品を業務端末として採用している企業に適しています。Apple製品の管理機能はMDMツールのなかで随一ですが、Windows端末の管理には対応していません。
Optimal Biz
オプティム社が提供する国産MDMサービスで、幅広い業種での導入実績があります。リモートロック・リモートワイプ・アプリ配信・位置情報管理など基本機能が揃っており、シンプルな管理画面で操作の習得が早いのが特徴です。


なお、どのサービスを選んでも避けて通れないのが初期キッティングの作業です。十数台の端末をまとめてセットアップする場面では、ポート数の多い充電器が1台あると机の上がすっきりします。
端末管理と並行して、クラウドストレージのセキュリティ環境も見直しておくと安心です。周辺機器の選び方はこちら。
MDMツールの選び方
管理対象のOSを確認する
まず自社で管理すべき端末のOSを明確にしましょう。iOS・Android・Windows・macOSすべてに対応しているツールもあれば、特定のOSに特化したツールもあります。管理対象のOSをカバーできることが最低条件です。
PCも含めた一元管理が必要か
スマホ・タブレットだけでなく、PCも含めて一つのツールで管理したい場合は、MDMだけでなくIT資産管理の機能を備えたツール(LANSCOPE、Intune等)を選ぶと効率的です。
BYOD対応の有無
従業員の私用端末を業務に使うBYOD(Bring Your Own Device)を導入している場合、業務データと個人データを分離する「コンテナ化」機能が必要です。BYODに対応したMDMツールを選ぶことで、プライバシーの問題を回避しながらセキュリティを確保できます。
MDMの導入にあたっては、従業員への事前説明が重要です。特にBYOD環境では「個人のスマホが会社に監視されるのでは」という不安を持つ従業員もいます。管理される範囲とプライバシーが守られる仕組みを丁寧に説明してください。
よくある質問(Q&A)
Q. MDMの導入費用はどのくらいですか?
サービスによって異なりますが、クラウド型MDMであれば月額300〜500円/デバイス程度が目安です。初期費用がかかるサービスと、初期費用無料のサービスがあるので、見積もり時に確認してください。Microsoft Intuneのように既存のライセンスに含まれているケースもあります。
Q. MDMとEMMの違いは何ですか?
MDMは端末そのものの管理(ロック、ワイプ、設定)に焦点を当てた機能です。EMM(Enterprise Mobility Management)は、MDMに加えてアプリ管理(MAM)やコンテンツ管理(MCM)を統合した上位概念です。端末管理だけでなくアプリやデータの制御まで必要な場合はEMM対応のサービスを選びましょう。
Q. 従業員の位置情報を常に監視していいのですか?
位置情報の取得は業務上の合理的な理由がある場合に限り、事前に従業員の同意を得たうえで実施する必要があります。プライバシーへの配慮を欠くと労務トラブルに発展する可能性があるため、利用規程を整備してから運用を開始してください。
ツールで守れるのはあくまでデータの中身までで、移動中に画面を横から見られるリスクまではカバーできません。外回りの多い部署に端末を配るなら、フィルムのような物理的な対策もセットで考えておくと安心です。
モバイル端末管理と同時に、テレワーク環境全体を見直したい方はこちらもチェックしてみてください。
まとめ
MDMツールは、スマートフォンやタブレットを業務で使う企業にとって必須のセキュリティ対策です。紛失時のリモートワイプ、アプリの一括配信、OSアップデートの管理など、IT管理者の負担を大幅に減らしてくれます。
選定のポイントは「対応OS」「PC含む一元管理の必要性」「BYOD対応」の3つです。自社の端末構成と運用体制に合ったツールを選んでください。


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