インボイス制度(適格請求書等保存方式)の開始により、フリーランスや個人事業主の経理業務は大きく変わりました。適格請求書の発行・保存が義務化され、消費税の計算方法も複雑になったことで、「手作業ではもう限界」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな状況の中、インボイス制度に対応したクラウド会計ソフトの存在が、多くの事業者を救っています。適格請求書の発行から消費税の計算、確定申告まで、インボイス対応に必要な作業をまとめて効率化できるのです。
この記事では、インボイス制度に対応したおすすめのクラウド会計ソフトを比較し、それぞれの対応機能や選び方のポイントを解説します。制度への対応に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
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インボイス制度でクラウド会計が必須になった理由
インボイス制度により、事業者の経理業務にどのような変化が生じたのかを整理しておきましょう。
適格請求書の記載要件が厳格化
インボイス制度では、請求書に以下の項目を正確に記載する必要があります。
- 適格請求書発行事業者の氏名・名称
- 登録番号(T + 13桁の数字)
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分した消費税額と適用税率
- 書類の交付を受ける事業者の氏名・名称
これらの要件を手作業で管理するのは非常に手間がかかります。クラウド会計ソフトなら、登録番号の自動記載や税率ごとの計算が自動化されるため、記載ミスのリスクを大幅に減らせます。
ただ、ソフトに任せるにしても「なぜその処理になるのか」を知らないままだと、設定を間違えたときに気づけません。制度の全体像を一度おさえておきたい方は、図解の多い解説書に目を通しておくと理解が早くなります。
消費税の計算が複雑化
仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)を保存する必要があります。免税事業者からの仕入れは段階的に控除が縮小されるため、取引先ごとにインボイス対応の有無を管理する必要があります。
この計算を手動で行うのは現実的ではなく、クラウド会計ソフトによる自動計算が事実上の必須となっています。
電子帳簿保存法との併用
電子帳簿保存法の改正により、電子取引データの電子保存が義務化されました。インボイス制度と電子帳簿保存法の両方に対応するには、クラウド会計ソフトの活用がもっとも効率的な方法です。


インボイス対応クラウド会計ソフトおすすめ3選
インボイス制度への対応が充実しているクラウド会計ソフトを厳選して紹介します。
1. freee会計 ― インボイス対応機能が充実
freee会計は、インボイス制度への対応をいち早く完了させたクラウド会計ソフトのひとつです。
インボイスに関する主な対応機能は以下の通りです。
- 適格請求書の発行・管理
- 登録番号の自動記載
- 税率別(8%・10%)の自動計算
- 仕入先のインボイス登録番号の管理
- 免税事業者からの仕入れに対する経過措置の自動計算
- 消費税申告書の自動作成
- 電子帳簿保存法対応
特に注目すべきは、仕入先のインボイス登録番号を一元管理できる機能です。取引先が適格請求書発行事業者かどうかを自動で判定し、仕入税額控除の計算に反映してくれます。
freeeのインボイス機能は、スタータープラン(月額1,480円税抜)から利用可能です。請求書の発行枚数に制限がないため、取引先が多い方にも安心です。
2. マネーフォワードクラウド ― 請求書から会計まで一気通貫
マネーフォワードクラウドは、「マネーフォワードクラウド請求書」と「マネーフォワードクラウド会計」を連携させることで、インボイスの発行から会計処理まで一気通貫で管理できます。
- 適格請求書の作成・送付・管理
- 受領したインボイスの自動取り込み
- 登録番号の自動反映
- 税率ごとの仕入税額控除の自動計算
- 2割特例(簡易的な計算方法)への対応
- 消費税申告書の自動作成
- 電子帳簿保存法対応
マネーフォワードの強みは、請求書の受領側の機能が充実していることです。取引先から届いた請求書をアップロードすると、AIが自動で内容を読み取り、仕訳まで生成してくれます。受取インボイスの管理が特に楽にできるサービスです。
この機能を活かすには、紙で届いた請求書をいかに手早くデータにするかが鍵になります。月末にまとめて処理するなら、複数枚を一度に読み込める自動給紙タイプのスキャナがあると作業時間が大きく変わります。
マネーフォワードは「クラウド請求書」「クラウド経費」「クラウド会計」などのサービスを個別に利用することも、バンドルプランでまとめて利用することも可能です。必要な機能だけ選べるため、コストの最適化がしやすいです。
3. やよいの青色申告オンライン / 弥生会計オンライン ― 安心の電話サポート付き
弥生のクラウド会計ソフトは、個人事業主向けの「やよいの青色申告オンライン」と法人向けの「弥生会計オンライン」の2ラインナップがあります。
- 適格請求書の発行・管理(Misoca連携)
- 登録番号の自動記載
- 税率別の自動仕訳
- 消費税申告書の自動作成
- 2割特例・簡易課税への対応
- 電話による仕訳相談(ベーシックプラン以上)
- 電子帳簿保存法対応
弥生の最大の強みは、電話サポートで仕訳の相談まで対応してくれることです。「この取引はどう仕訳すればいいの?」「インボイスの処理方法がわからない」といった具体的な質問に、専門スタッフが電話で答えてくれます。
また、請求書作成サービス「Misoca」と連携することで、適格請求書の発行から会計への自動連携までスムーズに行えます。Misocaは無料プランがあるため、追加コストなしで利用できます。


インボイス対応ソフトの選び方 ― 3つのチェックポイント
3つのソフトはいずれもインボイス制度に対応していますが、選ぶ際には以下のポイントを確認しましょう。
チェック1:2割特例・簡易課税に対応しているか
免税事業者からインボイス登録をした方は、「2割特例」という簡易的な消費税計算方法を選択できる場合があります。この特例に対応しているかどうかは、特に重要な確認ポイントです。3サービスとも対応済みですが、設定方法はそれぞれ異なるため、事前に確認しておきましょう。
チェック2:請求書の発行機能が含まれているか
適格請求書を発行する必要がある場合、会計ソフトに請求書発行機能が含まれているかを確認しましょう。freeeは会計ソフト内に請求書機能が含まれていますが、マネーフォワードと弥生は別サービス(クラウド請求書、Misoca)との連携が必要です。
また、取引先によっては今も紙の請求書を求められることがあります。データで完結できない相手が残っているなら、A4がきれいに出力できるプリンターを1台用意しておくと、月末に慌てずに済みます。
チェック3:受取インボイスの管理機能
自分が請求書を発行する側だけでなく、受け取る側としての管理機能も重要です。受領した請求書がインボイスの要件を満たしているかのチェック機能や、データの自動取り込み機能があると、経理作業がさらに効率化されます。
経理業務の効率化には、ソフトだけでなくデスク周りのガジェットも見直すと効果的です
インボイス制度で押さえておくべき経過措置
インボイス制度には、影響を緩和するための経過措置がいくつか設けられています。クラウド会計ソフトを選ぶ際には、これらの経過措置に対応しているかも確認しましょう。
免税事業者からの仕入れに関する経過措置
免税事業者(インボイス未登録事業者)からの仕入れについても、一定期間は仕入税額控除の一部が認められます。具体的には、制度開始から3年間は80%、その後3年間は50%の控除が可能です。
この経過措置の計算は非常に複雑ですが、クラウド会計ソフトなら取引先のインボイス登録状況に応じて自動で控除割合を計算してくれます。
2割特例(小規模事業者向け)
免税事業者からインボイス登録をした小規模事業者は、納税額を売上にかかる消費税額の2割とする特例を選択できます。この特例は本則課税や簡易課税よりも有利になるケースが多いため、対象となる方は必ず検討しましょう。


インボイス制度対応のためにやるべきこと
クラウド会計ソフトの導入と合わせて、以下の対応を進めておきましょう。
1. 適格請求書発行事業者の登録を確認
インボイスを発行するには、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録番号を取得する必要があります。まだ登録していない方は、国税庁のインボイス制度特設サイトから手続きを進めてください。
2. 取引先のインボイス登録状況を確認
仕入先や外注先がインボイス登録しているかどうかを確認し、クラウド会計ソフトに登録番号を入力しておきましょう。未登録の取引先については、経過措置の適用を忘れずに設定します。
3. 請求書テンプレートを更新
既存の請求書テンプレートがインボイスの記載要件を満たしているか確認しましょう。クラウド会計ソフトの請求書機能を使えば、要件を満たしたテンプレートが自動で適用されるため安心です。
4. 消費税の計算方法を選択
本則課税、簡易課税、2割特例のうち、自分にもっとも有利な計算方法を選択しましょう。判断が難しい場合は、税理士に相談することをおすすめします。
フリーランスの方はデスク環境も整えると、クラウドツールの作業効率がさらに上がります
まとめ:インボイス対応はクラウド会計に任せるのが正解
インボイス制度により、適格請求書の発行・管理、消費税の計算、電子帳簿保存法への対応など、経理業務の負担は確実に増えています。この増加した業務を効率的にこなすには、インボイス対応のクラウド会計ソフトの活用が不可欠です。
freeeは操作のしやすさ、マネーフォワードは受取インボイスの管理、弥生は電話サポートとそれぞれに強みがあります。自分の業務スタイルに合ったソフトを選び、インボイス対応の負担を最小限に抑えましょう。
いずれのソフトも無料体験期間があるため、まずは実際に触ってみてから判断することをおすすめします。インボイス制度は複雑ですが、適切なツールを使えば、恐れる必要はありません。
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