入社手続き、社会保険の届出、給与計算、年末調整。中小企業の人事労務担当者は、少人数で膨大な事務作業をこなしています。特に法改正のたびにルールが変わる社会保険関連の手続きは、紙ベースの管理では対応しきれなくなってきています。
こうした課題を解決する手段として、クラウド型の人事労務ソフトの導入が加速しています。クラウド型なら場所を選ばずに作業でき、法改正への対応も自動アップデートで反映されます。さらに、従業員がスマートフォンから各種申請を行えるため、紙の書類のやり取りが大幅に減少します。
この記事では、クラウド型人事労務ソフトの主要サービスを比較し、選び方のポイントを解説します。

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クラウド型人事労務ソフトとは?
カバーする業務範囲
クラウド型人事労務ソフトが対応する業務は多岐にわたります。入社・退社手続き、雇用契約の電子化、社会保険・雇用保険の届出書類作成、年末調整、マイナンバーの管理、Web給与明細の配布などが主な機能です。サービスによっては勤怠管理や給与計算の機能も一体化されているものもあります。
導入するメリット
ペーパーレス化による業務効率の向上が最大のメリットです。従来は紙で行っていた入社手続きや年末調整がオンラインで完結するため、書類の配布・回収・保管にかかる手間とコストが削減されます。また、従業員がスマートフォンから直接情報を入力するため、担当者による転記作業も不要になります。
とはいえ、これまでキャビネットに溜め込んできた過去の履歴書や雇用契約書は、ソフトを入れただけでは電子化されません。移行の初期段階でまとめてPDF化しておくと、あとの運用がぐっと楽になります。両面同時読み取りに対応したスキャナーを使う担当者が多いようです。
クラウド型のメリット
自社にサーバーを設置する必要がなく、初期費用を抑えて導入できます。法改正(社会保険料率の変更、税制改正など)への対応が自動で行われるのもクラウド型ならではの利点です。テレワーク環境でもブラウザからアクセスできるため、管理部門のリモートワークにも対応しやすくなります。さらに、データのバックアップもクラウド側で自動的に行われるため、PCの故障やデータ消失のリスクからも解放されます。
おすすめのクラウド型人事労務ソフトを比較
SmartHR
労務管理クラウド市場で7年連続シェアNo.1を獲得しているサービスです。入社手続き・雇用契約・年末調整・電子申請など、労務管理に特化した機能が充実しています。タレントマネジメント機能も搭載されており、人事評価やサーベイにも対応可能です。登録社数80,000社以上、継続利用率99%という実績があります。ただし、給与計算機能は含まれていないため、別途連携が必要です。
freee人事労務
freee株式会社が提供するクラウド人事労務ソフトで、勤怠管理・給与計算・年末調整・入退社手続きを一つのサービスでカバーしています。freee会計との連携がスムーズで、会計データとの一元管理が可能です。UIがシンプルで、初めて人事労務ソフトを使う担当者でも操作しやすい設計になっています。
ジンジャー人事労務
jinjer株式会社が提供するサービスで、人事情報をひとつのデータベースに集約するのが特徴です。従業員の異動履歴やライフイベントをタイムライン形式で確認でき、組織全体の人材データを把握しやすくなっています。勤怠管理・給与計算・経費精算など、ジンジャーシリーズの他サービスとの連携も可能です。
マネーフォワード クラウド人事管理
マネーフォワード株式会社が提供するサービスで、従業員情報の一元管理と組織図の可視化が強みです。マネーフォワード クラウド給与やクラウド勤怠との連携により、人事労務のバックオフィス業務をトータルでカバーできます。AIによるデータ入力の効率化機能も搭載されています。
オフィスステーション
株式会社エフアンドエムが提供するサービスで、労務管理システム市場で6年連続シェアNo.1の実績があります。利用社数は55,000社を超えており、社会保険・雇用保険の電子申請に強みがあります。必要な機能だけを選んで契約できるため、コストを最小限に抑えたい企業に適しています。


人事労務ソフトを選ぶときの4つのポイント
1. 給与計算を含めるかどうか
人事労務ソフトには、給与計算機能が一体化されているタイプ(freee人事労務、ジンジャーなど)と、労務管理に特化しているタイプ(SmartHRなど)があります。既に別の給与計算ソフトを使っている場合は、連携の相性を確認してください。
2. 電子申請への対応範囲
社会保険や雇用保険の届出をe-Govで電子申請できるかは、業務効率に大きく影響します。対応する届出の種類がサービスによって異なるため、自社で頻繁に提出する届出がカバーされているかを確認しましょう。
3. 従業員のセルフサービス機能
住所変更や扶養異動などの届出を、従業員自身がスマートフォンやPCから申請できる機能があると、人事担当者の作業負荷が大幅に減ります。セルフサービス機能の充実度はサービス選定の重要なポイントです。
4. 他サービスとの連携性
勤怠管理、給与計算、会計ソフトなど、既存の業務ツールとの連携がスムーズかどうかも重要です。API連携やCSV連携に対応しているサービスであれば、データの二重入力を防げます。
人事労務ソフトにはマイナンバーなどの機密情報が保存されます。導入時には、セキュリティ認証(ISMS、SOC2など)の取得状況、データの暗号化、アクセス権限の設定範囲を必ず確認しましょう。
あわせて見落としがちなのが、電子化したあとに手元へ残る紙のほうです。マイナンバーが記載された書類をそのままゴミ箱に捨てるわけにはいかないため、細断サイズの細かいシュレッダーを1台置いておくと処分の運用まで含めて片付きます。
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導入時によくある失敗と対策
現場の社員が使ってくれない
人事労務ソフトは人事担当者だけでなく、従業員全員が利用するシステムです。操作が複雑だったり、導入の目的が共有されていなかったりすると、現場で使われなくなるリスクがあります。導入前に従業員向けの説明会を実施し、メリットを理解してもらうことが大切です。特に「紙の書類を記入する手間がなくなる」「スマートフォンから3分で完了する」といった具体的なメリットを伝えると、受け入れられやすくなります。
既存の業務フローとの不一致
自社の承認フローや独自のルールとシステムが合わないケースがあります。導入前に現在の業務フローを棚卸しし、システムに合わせて簡略化できる部分がないかを検討しましょう。業務をシステムに合わせるほうが、長期的にはスムーズに運用できるケースが多いです。
よくある質問
従業員数が少ない企業でも導入する意味がある?
10名以上の企業であれば、入社手続きや年末調整のペーパーレス化だけでも導入メリットを実感しやすいです。従業員30名以下なら無料プランを提供しているサービスもあるので、コストをかけずに始められます。
税理士・社労士との連携は可能?
多くのクラウド型人事労務ソフトは、税理士や社労士とのデータ共有機能を備えています。アカウントの招待やCSVエクスポートで、顧問先との情報共有がスムーズに行えます。
導入にかかる期間は?
基本的な設定は1週間~2週間程度で完了するケースが多いです。従業員情報の登録や既存データの移行を含めると、1ヶ月程度を見込んでおくとよいでしょう。
クラウド型の人事労務ソフトの料金相場は?
無料プランを提供しているサービスから、月額数万円の高機能サービスまで幅があります。中小企業向けであれば1ユーザーあたり月額300円~500円程度が相場で、50名規模なら月額15,000円~25,000円程度が目安です。サービスによって料金体系が異なるため、自社の従業員数で見積もりを取って比較しましょう。
マイナンバーの管理はクラウドで安全?
主要なクラウド型人事労務ソフトは、マイナンバーの管理に必要なセキュリティ要件(データの暗号化、アクセスログの記録、二段階認証など)を満たしています。むしろ、紙やExcelでマイナンバーを管理するよりも、セキュリティ認証を取得したクラウドサービスで管理するほうが安全性が高いケースが多いです。
複数拠点でも使える?
クラウド型のため、インターネット環境があれば拠点を問わず利用できます。本社と支社で同じデータベースを共有できるため、拠点ごとにバラバラに管理していた従業員情報を一元化できます。拠点間のデータ整合性の問題も解消されます。
導入効果を高めるためのコツ
段階的に機能を有効化する
一度にすべての機能を使い始めると、担当者も従業員も混乱しやすくなります。まず入社手続きや年末調整など、効果が実感しやすい業務から始め、運用が安定してから勤怠管理や給与計算に範囲を広げるのが定着のコツです。
従業員への周知を丁寧に行う
人事労務ソフトは従業員全員が使うシステムです。導入の目的やメリットを事前に説明し、操作方法のガイドを共有しておくと、「なぜこのシステムを使うのか」が理解されてスムーズに定着します。特にスマートフォンからの操作方法は重点的に案内しましょう。


まとめ
クラウド型の人事労務ソフトは、入社手続き・年末調整・社会保険届出などのペーパーレス化を実現し、人事担当者の業務負荷を大幅に軽減するツールです。SmartHR、freee人事労務、ジンジャー人事労務、マネーフォワード クラウド、オフィスステーションなど、各サービスには得意領域があるため、自社の課題に合ったサービスを選ぶことが成功の鍵です。
まずは無料プランや無料トライアルで使い勝手を確認し、自社の業務フローとの相性を見極めてから本格導入を検討してください。
人事労務ソフトの最新比較情報は、ITトレンドの労務管理システム比較記事や、アスピックの労務管理システム比較ガイドでも詳しく紹介されています。
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